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【修復-8】埼玉県 光照寺地蔵菩薩立像
南北朝時代 修復年 2005年
この御像は、なんとも不思議な縁から修復が進んだ像です。ある方が古美術商を通して手に入れたのですが、文化財としてきちんとした方法で修復したい、と保存彫刻研究室に依頼されました。さっそく修復をはじめたところ、像内から修理願文が発見され、そこには作者の「法橋助教」の名や「光照寺」などの文字が記されていました。ちょうどその頃「熊谷市一体で無住の寺院から仏像が盗まれる」という事件が頻発しており、どうやら「光照寺」からもお地蔵様が盗まれたことが分かりました。状況を確かめるべく熊谷市の光照寺に向かい、厨子の扉を開けてもらったところ、厨子の背板にぼんやりと輪郭が残されていました。その輪郭は像とぴったりと重なり、まさにお地蔵様がいた証拠でした。御像を買い求めた方もすぐに元の所有者に返還してくださり、とうとうお地蔵様は我が家に帰り着くことができたのです。
本像の制作年代ははっきりとは分かりませんが、作風からすると南北朝時代頃のものとみられ、像内から発見された修理願文は元禄4年(江戸中期)のものでした。ここからも、この像が長い間人々に守られてきたことがよく分かります。

修復前写真

厨子の床にくっきりと残された台座の輪郭

台座を置いた状態

納入品

修復前写真

厨子の背面にぼんやりと残った輪郭

納入品の発見

台座のクリーニング

台座のクリーニング

解体した状態

補彩

小指や錫杖の新補

光照寺での開眼法要
修復後写真
現在の様子


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