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【修復-9】茨城県 西念寺 阿弥陀如来坐像
平安時代後期 修復年 2006年
本像は、浅く平行に流れる衣文、おだやかな顔立ち、伏し目がちの眼差しなど、平安時代後期に一世を風靡した「定朝様」のまさに典型といえる美しい像で、茨城県指定文化財に指定されています。しかし過去の修理の際、両手をはじめかなりの部分が造り直され、さらに分厚い塗膜が全体を覆っていたため、制作当初の姿を損なっていました。
研究室で行なった修復では、まずはじめに粗悪な後補塗膜をすべて除去し、像全体の構造を強化しました。また当初・後補すべての部材の3Dレーザー計測を行ないました。これにより、CG上で部材を配置し当初の姿を再現したり、同時代の定朝様作例と形状・構造の比較を客観的に行なうことが可能になりました。
なお3Dモデルによる比較研究は、平成18年度科学研究費助成金ならびに財団法人文化財保護・芸術研究助成財団による助成のもと、「平等院および浄瑠璃寺阿弥陀如来像を中心に3Dデジタルデータによる定朝様式の比較研究」として行われました。

修復前写真


後補塗膜の除去

後補部材の除去
ドロバチの巣

後補部材を除去した頭部

隙間に埋木を施した状態

樹脂含浸による木質の強化


組み上げ
欠失部の新補

裳先の新補

木屎漆の充填

修復後写真
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