【修復-10】神奈川県 青蓮寺愛染明王坐像

​鎌倉時代 修復年 2009年〜2010年

 大正12年(1923)の関東大震災では、多くの寺社が倒壊・焼失し、仏像を含む多くの文化財も甚大な被害を受けました。この御像もそのひとつで、完全に崩壊したため修復困難とされ30年間も石炭箱に入れられたまま保管されていました。その後、歴史的価値が認められ鎌倉国宝館で50年以上保管されたのち、当研究室で修復を行うことになりました。

 本像が制作されたのは鎌倉時代とみられ、複数のヒノキ材からなる寄木造の像です。研究室に搬入された時には、ばらばらになった別の仏像のパーツが混ざり、元の姿がすぐにはわかりませんでした。そこで、制作年代が近いとみられる五島美術館所蔵の愛染明王坐像の3次元計測調査を行なって参考とし、さらにわずかに残った腕の痕跡を基に、本来の姿をCG上で復元しました。

 ひどい虫喰いなどで形を失った部分には、その形にピッタリはまるように彫ったヒノキ材を当てています。その際、手作業だけでなく3Dデータを利用したNC切削も活用することで、短時間に高精度なパーツを造ることができました。台座・光背は完全に失われていたため新たに造り、御像本体に風合いが合うように古色を施しています。

 本像が修復を終えて青蓮寺に還着(げんじゃく)したのは、関東大震災で大破してからおよそ90年、奇しくも東日本大震災の年でした。

倒壊した円覚寺舎利殿

『国宝円覚寺舎利殿修理調査特別報告書』より転載

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​部材の選別​

​修復前写真(仮組み状態)​

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​朽損部の新補​

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​持物の新補

​バラバラになった両腕​

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​獅子冠の新補​

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​蓮華座の新補

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​蓮華座の新補

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​蓮弁の制作​

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​蓮華座の組み上げ​

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​完成写真