【模刻-15】東京藝術大学月光菩薩像復元模刻

および東京国立博物館日光菩薩像模刻

制作者:白澤陽治 制作年 2013年

 この2像は、高山寺薬師如来像の脇侍と伝えられる日光・月光菩薩像の模刻です。これまで、木心乾漆技法の発生要因としては「脱活乾漆造からの派生」「既存の木彫技法からの影響」「脱活乾漆造から木彫への過渡期的技法」などが挙げられてきました。脱活乾漆造に比べ漆の使用量が少なく経済的である点も指摘されていますが、これらは基本的に消極的な要素が強く、脱活乾漆造を簡略化したものであるという考え方が定着していました。しかし、実際に模刻を行なってみると、木心乾漆像の心木はとても綿密な計画の上に造られていることが分かりました。例えば腕の関節や踏み下げた側の足首は、まるで人体の関節のような仕口になっており自由に調整することができます。聖林寺十一面観音菩薩像の台座まで貫通する長大な足枘も同様に高い計画性が必要です。これらの像には、作者が理想とする仏像を造るための手間と工夫が随所にみられ、経済性とは相反する制作技法であったことが読み取れます。木心乾漆造における心木制作の目的は、脱活乾漆造からの消極的な変化を示すものではなく、人体の骨格的な構造を意識し、より彫刻的な表現を行なうことにあるといえるでしょう。

​アキニレの樹皮を採取​

​石臼で粉末にする​

​漆を混ぜて塑形する​

​対称な両像の心木​

​像内に塗った朱色​

​手先の制作​

​だんだん細かくなる造形​

​月光菩薩像​

日光菩薩像

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