【参考-14】東京藝術大学 月光菩薩踏下げ像

天平時代

 本像は奈良時代に制作されたとみられる木心乾漆像です。明治22年(1889)、東京美術学校の岡倉天心が日光菩薩像と対で購入しました。その後、岡倉天心が美術部長を兼任していた帝国博物館(現在の東京国立博物館)へ日光菩薩像が譲渡され、本学には月光菩薩像のみが教材用として残りました。月光菩薩像の方が破損が著しく、そこから内部構造を学べるためと言われています。当初は数多くの断片に分かれていましたが、その後修復され現在の姿になっています。現在、京都国立博物館に寄託されている木心乾漆造薬師如来坐像の脇侍であったと言われていることから、もとは高山寺で薬師三尊像として祀られていた可能性がありますが、はっきりとした伝来はいまだに分かっていません。

 像内部の心木は細かな材を組み合わせた丁寧な造りで、木屎漆を盛って造形しています。衣文の彫りは極めて深く鋭くあらわされ、肉身部も強い立体感を持っています。木彫などのカービング(材料を削って造るもの)とは違った、モデリング特有の魅力が色濃くあらわれた像です。

​月光菩薩像

​翻転する深い衣文​

​縮尺模刻での割矧ぎ​

​蛍光X線調査

本展に掲載されているすべての画像および情報は、東京藝術大学文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室および制作担当者の著作物であるとともに原本所有者の著作隣接権によって第三者の利用が厳しく制限されています。無断での複製・改変や利用は固くお断りいたします。

©2020 by 東京藝術大学大学院 美術研究科

文化財保存学専攻 保存修復彫刻研究室