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【模刻-22】興福寺 天燈鬼立像
益田芳樹 制作年 2008年
原本像は運慶三男康弁の作で、興福寺に龍燈鬼像と対をなして安置されています。
天燈鬼像は、腰のあたりで上下に真っ二つに分かれ、三角形のマチ材が挟み込まれるという、風変わりな構造をもっていますが、これは「胴継ぎ」と呼ばれ、腰をぐっと入れた強い動勢をあらわすためのものと考えられています。
実際の模刻制作の中で「胴継ぎ」を行ったところ、確かに動勢が出る反面、どうしても消しきれない構造や造形の破綻も現れ、当時の作者がつじつまを合わせるために苦労したことがうかがえました。このことから、この胴継ぎは造像当初から計画されていたものではなく、像の動きに変化をつけるため制作途中で行われたものであると推測されました。
「胴継ぎ」は、一木造の概念を変えた定朝以降、変化を続けてきた木彫技法のうち高い発展段階に位置付くものと言えます。当時の仏師の確信と力量が感じられる作例と言えるでしょう。


試作した石膏像


胴切り後
胴切り前
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