​文化財修復(経過報告)

 現在まで伝えられてきた多くの文化財は、素材・技法・保存環境・これまでの修理履歴など様々に異なり、同じものは何一つありません。しかし、彫刻文化財の修復にあたっては、おおよそ次の修理原則に則って作業を行なっています。

1. 当初の部材や当初の彫刻面、当初の彩色や漆箔はもっとも尊重され、傷つけないよう配慮する。
2. 粗悪な後世の付加物(後補部、補彩など)は、技術的に可能な場合に限り、修正または除去することがある。
3. 欠損・亡失部分は原則として補修しないが、像の保安上、不安のある場合は、補修・復原することもある。
4. 修理部分の仕上げはできるだけ控えめにまとめ、無用な補足や像面の塗り直しなどは行わない。
5. 信仰の対象である場合、修復の程度について所有者の希望を尊重し合意を得る必要がある。
6. 修理委員会、外部研究者(監督者)の客観的意見を尊重し参考にすること。

参考:西川杏太郎「美術院の伝統技法」

1/1

数年がかりで修復中の、2mを超える大きな御像です。関東最古の運慶様金剛力士として、室町期の納入品とともに注目を集めています。

一見すると小さく可愛らしい御像ですが、漂う不思議な存在感。それもそのはず、「千住」の地名のもとになったと言われる由緒ある御像です。

言わずと知れた名刹・善光寺。その塔頭の1つ、世尊院様からお預かり中の、厳しいお顔とダイナミックな動きが魅力的な御像です。

驚くほど緻密な彩色や金属装飾が、御像と厨子のなかにぎゅっとつまった小さな御像。江戸時代の仏師の技術の粋が集められています。

貴族文化華やかな平安時代に造られたとみられる、たおやかな雰囲気、バランスの取れた美しい造形が特徴の御像です。

運慶デビュー作の大日如来像でも有名な円成寺様からお預かりし、修復中です。すらりとのびた軽やかなお姿が美しい、平安時代の御像です。

今回の発表展で唯一の御神像です。朽損が進んではいますが、その鋭い造形とあいまって強い存在感と緊張感が伝わる御像です。普段は決して拝観することができない御像ですが、今回特別に公開のご許可を頂きました。

本展に掲載されているすべての画像および情報は、東京藝術大学文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室および制作担当者の著作物であるとともに原本所有者の著作隣接権によって第三者の利用が厳しく制限されています。無断での複製・改変や利用は固くお断りいたします。

©2020 by 東京藝術大学大学院 美術研究科

文化財保存学専攻 保存修復彫刻研究室